ブルーベリー「ど根性栽培」
今回は、「ブルーベリーの森あづみの」で採用している、栽培方法「ど根性栽培」について、紹介したいと思います。
「ど根性栽培」は、千葉県木更津市の「エザワフルーツランド」の江澤貞雄氏が提唱する、栽培方法です。
- 作者: 江澤貞雄
- 出版社/メーカー: 農山漁村文化協会
- 発売日: 2014/10/24
- メディア: 単行本
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以前、お話を伺いに千葉県まで行き、農園も見学させて頂きました。
江澤貞夫氏は、ブルーベリーのこれまでの常識と考えられていた栽培方法を見直して、植物本来の能力を最大限に発揮し、根をしっかりと張らせる「ど根性栽培」と称した、独自の栽培方法を提唱しています。
(従来のブルーベリー栽培の定説)
- 植え床にピートモス※1を多量に使用し土壌酸度(PH)の調整と排水性を対策する
- 頻繁な潅水(特に夏場)
- ノーザンハイブッシュ系品種中心の栽培
- 化学肥料で苗木の成長を促進
(ど根性栽培)
- 植え床にピートモスを使用しない※2
- 基本的に潅水をしない。※3
- ラビット・アイ系品種の積極的利用
- 肥料は少量の油粕のみ、剪苗木は定で成長を促す。
※ミズゴケ類などの植物が堆積し、腐植化した泥炭を脱水、粉砕したもの。土壌改良材として用いられる。
※2ノーザンハイブッシュでは少量使用する。
※3株元の乾燥対策は、木材チップなどの有機物でマルチングすることを徹底し、乾燥を防止する。
ど根性栽培はブルーベリー協会のホームページでも紹介されています。
ど根性栽培の実際
草などを除去し植穴を掘る
植える箇所周辺の草を除去します。
この場所はオーチャードグラスという多年生の牧草が生えており、厚さ1~2cmくらいの根の層が面的に張っていました。
乾燥防止にもなりそうですが、苗周辺だけは表面の根などを除去しました。
草刈りはしましたが、トラクターなどによる耕起はしていません。
植穴を掘ります。
従来の農法のようにピートモスなどを入れて植床を作らないので、12cmポットの大きさだけ、林業用の鍬で掘ります。
穴の中の根なども取り除きます。
植える
植えつけて、しっかりと鎮圧します。
硫黄粉を散布
硫黄粉、水分を含むと硫酸になるので、汗をかいた肌などに触れると、炎症をおこしたりします。
少量ですが、風向きなどには注意して散布しました。
硫黄粉はホームセンターなどではあまり売っていませんが、日本ブルーベリー協会から購入することができます。
(製品名:土壌改革)
PH調整とイノシシよけのための硫黄粉を散布します。
1株あたり、お椀半分(約100g)程度です。
この場所は、PHが6.0を少し切るくらいだったので、Ph4.5前後になるよう想定し、施用しました。
ラビットアイ系の品種の場合、Ph4.3~5.3程度と言われていますが、実際には5.5~6.0くらいでも問題なく育つようです。
なお、ど根性栽培ですと通常はこの後、油粕お椀1杯を散布しますが、
江澤氏から助言を頂き、今回は、植える時期が少し遅いことを考慮し、油粕の散布を行わないこととしました。
木材チップの敷設
乾燥を防止する有機マルチとするため、ペール缶4杯分(20L×4=80L)の木材チップを敷設します。
平坦に均すと、ほぼ10cm程度の厚さになります。
刈り取った牧草が結構あったので、さらに草マルチにして足しました。
(これは私のオリジナル)
この作業を繰り返します。
植える作業よりもチップをペール缶につめて運搬する作業に時間がかかります。
耕さないし、土壌改良や施肥などもほとんどしない。
道具も基本、クワしか使わないので、
林業の自拵え(植栽のための草木の除去や整地)→植栽
みたいな感じがしました。
(私は元、林業の技術屋です。)
最初の植え付けは、2019年の梅雨入り前の暑い時期に植えました。
真夏日に迫る気温になる日もありましたが、苗たちは暑さに耐えて元気です。
ブルーベリーさん、本当にありがとうございます。