ブルーベリーの森あづみので育てているブルーベリーは9割以上「ラビットアイ系」とよばれる系統の品種です。
長野県では、ラビットアイ系品種をメインに栽培しているブルーベリー農園はほとんどありません。
この地域ではどちらかというとマイナーなラビットアイ系品種ですが、これが素晴らしいんです。
ブルーベリーの品種は日本での栽培品種だけでも200種類以上あると言われていますが、ほとんどの品種の系統は大きく2つにです。
「(北部)ハイブッシュ系」と「ラビットアイ系」です。
ハイブッシュ | ラビットアイ | |
樹の大きさ | 1~2m | 2m以上 |
樹勢 | 弱~中 | 強い |
果実の大きさ | 中~大 | 小~中 |
成熟期 | 6月下旬から※ | 8月上旬から※1 |
収量 | 少ない(比較した場合) | 多い(比較した場合) |
味の特徴 | 酸味と甘みの調和のとれた爽やかな味 | 甘味が強く、コクのある味 |
土壌適応性 | 狭い | 広い |
耐寒性 | 優れる | 劣る |
耐暑性 | 劣る | 優れる |
耐乾性 | 劣る | 優れる |
(出典:ブルーベリーをつくりこなす(江澤貞雄、農文協)一部加筆)
※1長野県中部の場合
そのほか「南部ハイブッシュ」や「ローブッシュ」などがありますが、多くが上記の2つで占められています。
一般に北部ハイブッシュ系は寒冷地向け、ラビットアイ系は暖地向きと言われています。
耐寒性の違いのほか、収穫時期も北部ハイブッシュ系が6月下旬から7月下旬なのに対し、ラビットアイ系は8月上旬から9月頃に収穫を迎えます。
味は、どちらかと言えば、北部ハイブッシュ系はさわやかな酸味と甘みというイメージ品種が多いですが、ラビットアイ系は甘味が強くコクのあるような印象です。
どちらが美味しいかというと、好みもあるので一概には言えません。
美味しさの「系統」が違うといったところでしょうか。
ブルーベリーが日本に導入された頃は、ラビットアイ系の味の評価が低く、主に北部ハイブッシュを中心に導入が進められてきたようです。
北部ハイブッシュ系は実の色づくと早く完熟しますが、ラビットアイ系は色づいてから数日し、完熟します。
本当は、北部ハイブッシュ系にも負けないくらい美味しいのに、ラビットアイ系を北部ハイブッシュ系と同じようなタイミングで収穫すると、十分に完熟していないため、味が劣ると思われていたそうです。
また、ラビットアイ系は小粒~中粒の品種が多いため、出荷時の見栄えも北部ハイブッシュ系と比べて劣るかもしれません。
しかし、ラビットアイ系品種は、前述のとおり、熟期まで待てば、非常に美味しくなります。
本などには、品種により皮や種が目立つという評価の記述もあるようですが、味がしっかりとのっている状態であれば、あまり感じないのではないかと思います。
お客さんに聞いてみても、「種や皮が気になる」という声は、今のところ聞いたことがありません。
逆に言えば、熟していないと、種のような感じが残ることがあるので、完熟を大切に収穫しています。
また、収量が多く、北部ハイブッシュ系の2~3倍ほど収穫することができます。
たくさん実をつけるということは、樹の生命力も強いということであり、めったなことでは枯れませんし、土壌の適応性も広く、非常に育てやすい品種です。
食べきれないほどたくさんの甘い実ができる、というのは、ブルーベリー狩りにはぴったりではないかと思います。
また、北部ハイブッシュは注意深く実を選んでも、ときどき酸っぱい、いわるる「ハズレ」があるのですが、完熟したラビットアイ系品種は、あまりハズレがないように思います。
また、ブルーベリーの森あづみのがとりくんでいる、ブルーベリーに過度な干渉をせずに、環境に適応させる栽培方法、「ど根性栽培」はラビットアイ系により適した栽培方法ではないかと思います。
このような理由から、ブルーベリーの森あづみのでは、ラビットアイ系品種をメインに栽培しています。
ラビットアイ系は「暖地向き」と言われていますが、実際にはそれほど弱くはなく、冬期は氷点下になる長野県安曇野市でも問題なく育っています。
むしろ、最近の夏が暑すぎるので、これからは、温暖化も前提としながら、暑さに強い品種が大切になるとも感じています。
完熟した甘い「ラビットアイ系」品種たちを、ぜひ、味わってみてください。